学生ローンの七不思議と課題
学生がお金を借りるのはなかなか難しい面があるが、学生でないと借りれない消費者金融がある事をご存じだろうか?
「学生ローン」がそれである。
元々「学生ローン」は「学生専門のローン会社」という意味で、省略形である「学生ローン」が現在では定着した恰好だ。
大手消費者金融や銀行系カードローンがこれだけあるなかで、いかにして営業戦略を立てているのだろうか?
その秘密は、大手との完全な差別化と、市場の棲み分けにある。
まず顧客対象を学生に絞った事で、大手との顧客の奪い合いから解放され、独自の営業スタイルを構築する事ができた。
学生ローンは規模的にどうしても大手にはサービス面で敵わない部分がある。
最も顕著に現れるのがATMだろう。
大手は莫大な資金力によって、全国にATMを展開する。
コンビニなどでに設置するATMは、莫大な費用が掛かる為、体力の弱い学生ローンでは無理だ。
せいぜい自社店舗脇に1~2台設置するので精いっぱいだろう。
●小規模故の試練と課題
学生ローンは規模が小さい事から、信用面においてハンデを背負っている。
そこで、お客サービスや対応にはとかく力を注いでおり、利用者の大部分の学生ローンに対する印象は、好意的なものが多い。
しかし、はじめから信用を得たわけではなく、長年にわたる毎日の顧客対応の積み重ねにより、今日の土台を築き上げたのだ。
現在では学生の間では学生ローンの認知度はかなり浸透しているが、学生以外の者にはまだまだ厳しい見方が残っており、課題が残されているのも否めない。
特に学生を子に持つ親の視線は厳しいと言わざるを得ない。
その大きな要因となっているのが、「学生にお金を貸して良いのか!?」という事である。
また、一部の学生ローンでは未成年者に対する貸付も行っており、そのことも批判を招いている大きな要因の一つだ。
因みに未成年者に対する貸付は法的には有効であり、違法な行為ではない。
ただし、未成年者には取消権という権利がある為、他の信販会社などはリスク回避で親の承諾を得ているにすぎない。
それと信販会社の承諾は、了承を得やすいという点があり、学生ローンとは根本的な違いがある事を留意する必要がある。
学生ローンで借金するのと、バイクを買う為のローンとでは、親の受け入れ方が全く違うのだ。
バイク屋から「あなたの子供さんがバイクを購入しにきてますけど、よろしいですか?」と、
聞いた事もない学生ローンから「あなたの子供さんが借りにきてますけどよろしいですか」
では、印象がまるで違う。
バイクのローンは事前に親と相談している可能性が高く、すんなり承諾は得られるだろう。
しかし、突然学生ローンから電話がかかってきて、いきなり「貸しても良いですか」と言われたところで承諾するはずがない。
これでは営業にならないし、学生のプライバシー尊重の観点からも、事前に承諾を得るという事は不可能に近いのだ。
これからの学生ローンの課題は、社会的な理解をどう得るのかを考える必要があるのだろう。
●学生の意識改革も必要
近頃の学生は、消費に対して非常にシビアである。
若者の自動車離れは、若者の節約志向を裏付けている。
とにかくお金を消費しないのだ。
そうした事情から、学生ローンでは顧客の獲得に四苦八苦する業者が多い。
近年ではインターネットでの新規獲得に力を入れる学生ローンも多いが、過剰なSEOなどが災いとなる事も多く、手探り状態というのが実情だろう。
とりあえず検索結果の1ページ目にいれば良いという業者も多く、以前のように過度に競う事はなくなったように思われる。
話が反れてしまったが、学生ローンの今後の課題は学生を含めた消費に対する意識改革が起こらない事には、なかなか新規客を増やす事は難しい。
●某、老舗学生ローンの店舗移動について
高田馬場で古くから営業を続ける「アミーゴ」だが、このほど店舗を移動した事が話題となっている。
今までは高田馬場の栄通りという早稲田通り沿いの駅前に店舗を構えており、立地条件としては最適な場所だった。
ところが、最近になってアミーゴは突如として店舗を酒通りの奥地に引っ越してしまったのである。
なんとも不可解な引っ越し劇だが、どう考えても立地条件としては不利である。
新規獲得をインターネット1本に絞ったとという事だろうか?
これは非常に危険である。
どうしてもSEOの依存度が上がってしまうし、ペナルティを受けたら命取りだ。
仮に上位表示を果たしていたとしても、店舗への誘導が困難である。
高田馬場には非常に目立つ学生ローンの看板がある為、他社に取られてしまう可能性も高いだろう。
一生懸命SEOを頑張ったところで、他社にお客を取られてしまっては元も子もない。
今回の店舗移転は、不可解極まりないものと言って良いだろう。